第15回
日時: 平成14年5月18日(土)午後7時より
場所: 宮城県歯科医師会館
講師: 東北大学歯学部附属病院 障害者歯科治療部 齊藤 峻 先生(2回生)
演題名:「障害者はお嫌い?」
<抄録>: 障害者の歯科治療はとかく敬遠されやすい。せっかく高度の歯科治療を施してあげたいと思っているのに、障害を持っている患者さんは、我々歯科医師の思い通りにいかないことが多い。どこがどのように具合が悪いのか、どうしてもらいたいのか分からない。こちらであーんと口を開いてと指示しても、逆に口を貝みたいにすぼめてしまう。抵抗して浸潤麻酔をさせてくれないし、歯を削らせてもくれない。
泣かれたり、暴れたりすることもある。時間だけがいたずらに過ぎて、能率や効率を追求する、優秀な歯科医師ほど頭に血がのぼってカッカカッカとしてしまう。レストレイナーを使って身体を抑制すると、人権擁護の立場から非難される。汗水を垂らしてやっても割りが合わない。どうしたらよいのか相談を受けることがある。遊戯法とか、TSD法とか、オペラント条件づけ法とか、TEACCH法とかが保険で認められるようになったが、うまくいくとは限らない。うまい方法なんてあるのだろうか。ひょっとすると歯科医師側に障害を特別化してみていることがあるからではないだろうか。障害を持っている人と障害のない人との区別はどこにあるのか。同じ人間としてみることができれば、自ずから問題は氷解していくのではないか。今回、今まで取り組んできた事例を提示し、障害者歯科を歯科医学の原点と捉え、一緒に考えてみる機会になればと思う。
<講演内容> 講演の冒頭、「障害」という言葉から受けるイメージが今まで抱えてきた諸問題についての解説から始まりました。障害者のノーマライゼーション化が第二次世界大戦後のデンマークで提唱され、1990年に「障害を持つアメリカ人法」が制定され、それが具現化されてきた流れについても解説いただきました。バリアフリーという言葉を最近よく耳にするようになりましたが、それを具現化するということは簡単に実行できるものではありません。具体的な形で現そうとするためには、障害者自身が罹患している疾患(障害の原因疾患やその二次的な疾患など)の特異性をよく知り、歯科治療に役立てる必要があります。そのような特殊疾患とそれに関連した口腔内所見を、スライド写真で紹介していただきました。また、歯科治療の方法では、患者さんとのコミュニケーションをとる方法の解説、実際の治療風景などを説明しながら、お話しいただきました。